大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)2598号 判決

被告人 山崎平二 外四名

〔抄 録〕

控訴趣意第二点について。

公職選挙法第二百二十四条による利益の没収は、収受し又は交付を受けた利益を現に所持する者に対してこれを科し、追徴は右利益の全部又は一部を没収することができないときこれに代えて科すべき性質のものであるから、右利益を没収することができない状態に至つた時を標準として、その当時においてこれを所持した者からその価額を追徴すべく、従つて収受し又は交付を受けた者がその利益を所持する間にこれを没収することができない状態に至つたときは、その者からその価額を追徴すべきは勿論であるがその者がその利益を供与又は交付された趣旨に従い、更に他の者に供与又は交付したときは、その部分については後の収受者又は受交付者からこれを没収又は追徴すべきであつて、前の収受者又は受交付者から、(これを没収し得ない状態に至つたものとして)その価額を追徴することはできないものと解するのを相当とする。これを本件について見るのに原判決は被告人山本重作に対し同被告人が被告人山崎平二から原判示第二の如く投票及び投票取纏等の報酬及び買収資金として供与を受けた計金四万円を追徴していることは所論のとおりであるが、原判決挙示の証拠によれば同被告人は、右供与の趣旨に従い原判示第三の如く被告人石田理三等と共謀の上、右金員のうち計金一万七千円を、又、原判示第四の如く単独にて計金一万五千円を他に供与したほか、同趣旨のもとに被告人鈴木清吉に対し金二千円を交付し残余の金六千円を費消した事実を認めるに足りるから同被告人が供与を受けた右金四万円のうち、他に供与した右合計金三万四千円については、これをその供与を受けた者から没収し又は追徴すべく、同被告人に対しては、その自ら所持して費消した残金六千円についてのみ追徴を科し得るに過ぎないことは敍上説明に照らし多言を要しないところであつて、原判決が右金四万円の全額につきこれを同被告人から没収し得ないものとしてその価額を追徴したのは、右公職選挙法第二百二十四条の解釈適用を誤つたものというほかはなく右法令適用の誤が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから論旨は理由があり、原判決中同被告人に関する部分は破棄を免れない。

(三宅 河原 遠藤)

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